ポイント
- 加齢の影響を受けやすい
→エピソード記憶・流動性知能 - 加齢の影響を受けにくい
→意味記憶・手続き記憶・結晶性知能
記憶と学習能力には加齢の影響を受けやすいものと、そうでないものがあります。これらを理解したうえで高齢者の支援にあたることが必要です。
記憶の分類
記憶の過程は、覚える(記銘)・保つ(保持)・思い出す(想起)に分けられます。個人差は大きいですが、一般的には年をとるにつれてこれらの機能は低下します。
感覚記憶
見た、聞いた、触ったなどの瞬間的な記憶です。正確さや速さには影響がありますが、一瞬の間記憶する能力は年を取ってもあまり低下しません。
短期記憶
その場限りの一時的な記憶です。一旦覚えたけど覚えておこうと努力しなかった記憶で、数秒~数分で忘れてしまいます。
感覚記憶と一緒で、数秒の間記憶する能力は年をとってもあまり低下しませんが、正確さや速さには影響があります。ただし、数字の操作など、短期記憶を活用する能力は低下します。
長期記憶
長期間覚えている記憶です。加齢の影響を受けやすい記憶と受けにくい記憶があります。
エピソード記憶
本人が体験した個人的な記憶です。加齢の影響は受けやすく、覚えてはいるけれど細かいところが違っていたりします。思い出す際は、その記憶の手がかりがあった方が良いです。
再生と再認
想起(思い出す)ときの方法。高齢者は再認の方が得意。
- 再生
→手がかりなく直接思い出す - 再認
→物や体験などの手がかりで思い出す
意味記憶
言葉の意味や学んだ知識の記憶です。
加齢の影響を受けにくいとされています。
手続き的記憶
道具の使い方、スポーツなどでの身体の動かし方の記憶です。いわゆる「からだで覚えろ」の記憶です。
意味記憶と同じく、加齢の影響を受けにくいとされています。
知能の分類
知能は、物事を理解したり判断したりする力です。
知能への加齢による影響を説明するのに有用なのが、「結晶性知能」と「流動性知能」という分類です。
結晶性知能
経験によって獲得されていく知能です。加齢の影響を受けにくいとされています。
流動性知能
新しい環境に適応する能力をいいます。加齢の影響を受けやすいとされています。