尿失禁とは、本人の意思と関係なく尿がもれてしまう状態です。
排せつの失敗は、生活意欲の低下、社会活動への参加意欲の低下などを起こしがちです。排せつの失敗のあるひとの尊厳を守り、自立した日常生活の支援には適切で細心のケアが必要です。
尿失禁の種類を知り、対応について考えてみましょう。
尿失禁の種類
排尿機能の障害の有無で、大きく2つに分けられます。
・器質性疾患
臓器に異常があって起こる病気のこと。
・機能性疾患
臓器に異常はないがその機能が正常でない病気のこと。ストレスや認知症などが原因。
器質性尿失禁
排尿機能に異常があって起こるのが器質性尿失禁です。器質性尿失禁はさらに数種類に分けられます。
腹圧性尿失禁
せき、くしゃみ、笑った時など腹圧がかかった時に漏れてしまう排尿障害です。中年以降の女性に多い。
対策には骨盤底筋訓練(ケーゲル体操)が効果的です。
切迫性尿失禁
急に尿意を感じて、トイレまで我慢できずに失禁してしまう排尿障害です。
薬物療法や、尿意を我慢してトイレの回数を減らす膀胱訓練が効果的です。
溢流性尿失禁
溢流(いつりゅう)とはあふれ出ることです。気付かないうちに残尿が漏れてしまう状態です。
見逃されやすく、放置すると腎臓への悪影響があるので泌尿器科への受診が必要です。
機能性尿失禁
排尿機能は正常にもかかわらず、身体機能や認知機能の低下が原因でおこる尿失禁です。
からだの機能低下がある場合には、ズボンのゴムひもを緩いものに変えるといった衣類の調節や、足上げ運動などのトレーニングが有効です。
認知機能の低下によるものに関しては、排尿の誘導やトイレの場所をわかりやすくするなどの環境調整が効果的です。
▼国試番号
34-52 33-104 32-103 31-51 31-72 29-115
▼参考
国立長寿医療センター(https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/43.html)