認知症の中核症状とBPSD

認知症は脳の障害による病気です。支援にあたっては認知症という病気の理解が必要です。

中核症状

認知症の患者に見られる、脳の機能の低下によってあらわれる症状を中核症状といいます。中核症状は程度の違いはありますが、認知症になればすべての人にあらわれる症状です。具体的には、記憶障害・判断力低下・見当識障害・失語・失行・失認・実行機能障害などの症状があります。

認知症の症状であるBPSD(行動・心理症状)との違いは、誰にでもあらわれるかどうか、原因やきっかけを取り除けば改善するかどうかです。

記憶障害

新しい事を覚えたり、前の事を思い出したりする能力が失われていきます。

年をとったことによる「もの忘れ」との違いは、忘れた自覚があるかどうかです。認知症では、忘れたことも忘れてしまいます。

認知症の人は同じことを何度も聞いてきたりしますが、これは病気のためです。こちらも同じことを根気よく伝え続けることが重要です。

判断力の低下

自分一人では決められなかったり、間違った判断をすることが増えていきます。

何度も同じ買い物をしたり、薬の管理が出来なくなったりします。

認知症のひとには判断する材料を減らしてあげましょう。Yes・Noで答えられる質問や、選択肢を用意して聞いた方が答えやすくなります。

見当識障害

今がいつなのか、ここがどこなのか、今目の前にいる人は誰なのかがわからなくなる状態です。

「見当をつける」という言い方は、だいたいこうだろうと予測することですが、認知症の人はこれが出来なくなります。このような状態を「失見当識」や「誤見当」とも呼びます。

時間(いつ?)、場所(どこ?)、人(だれ?)の順でわからなくなっていきます。

失語

言葉がスムーズに出てこない状態です。言葉を理解できるものとできないものがあります。

言葉が理解できるひととのコミュニケーションでは、支援者が病気のことを理解することが重要です。ゆっくりとしゃべったり、ときには身振り手振りを交えて関わります。

失行

からだの動きに問題はないのに、日常の動作がうまくできない状態です。

服を正しく着ることができなかったり、はしを上手く扱えなかったりします。

失認

感覚に障害はないのに、認識できない状態です。

目や耳に問題はないのに、目の前のモノを無視したりします。

実行機能障害

ものごとの手順が分からなくなる状態です。

料理の手順などは分からなくなりますが、「みそ汁を作って」というよりも「大根を切って」「みそをいれて」とひとつずつ声をかければできることも多いです。

細かいステップに分解しながら、出来ることを本人にやってもらうことで自信を取り戻すような支援が必要です。

BPSD(行動・心理症状)

BPSDとは、認知症の中核症状の影響であらわれる追加の症状です。

BPSDは中核症状と違い、人によって症状が異なります。症状も色々あり、本人のからだの状態や周りの環境などに影響を受けます。

また、対応によって症状が改善する可能性があるのが特徴です。

行動症状

観察によってわかるもので、暴力、暴言、徘徊、不潔行為などがあります。

徘徊は記憶障害や見当識障害により、何をしようとしているのか、どこに行こうとしているのかわからなくなり迷ってしまうものです。

心理症状

本人や家族からの話でわかるもので、不安、抑うつ状態、妄想、幻覚などがあります。

心理症状の代表的なものに、「もの盗られ妄想」「夕暮れ症候群」「作話」などがあります。

BPSDを理解する上で大事なのが、BPSDが起こる理由を理解することで症状が改善する可能性があるということです。

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